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何か狙って書いたとかではなく、
ただの妄想が溢れ出したものです。
すごく意味不明な件に関してはお詫び申し上げます。
編集完了、恐らく完成品。


 そろそろ潮時か、と溜息と一緒に口から言葉が漏れた。人気のないところに逃げ込んだ
のは失敗だった。表通りを覗き見るだけで、もう月が出ているというのに何人かの警察が
発見できる。一人でもこっちに来たら自分はおしまいだろう。
 いきなりの事態に慌てて、目立つことをしてしまった。そんな油断さえしなければまだ
逃げ続けることはできただろう。だが、もう後悔はしていない。いくらうまく姿を眩ませ
ても無駄だとわかってしまった。数百kmは離れた場所に潜伏しているという誤情報を追っていたにも関わらず、ものの数日で警察は追いついてきたのだ。頑張って逃げても、追い詰められるか、逃亡生活に疲れ果てるかの結末が待っていただろう。そして、それは遠い未来の話ではない。ある意味では今も追い詰められているが、この場を逃げ切る自信はある。しかし、逃げたところでまた逃亡生活だ。自分の願いは平穏な生活だというのに、それでは意味がない。
 案外、拘置所の方が平穏な生活が送れるかもしれない。楽観的な想像ではあるが、今ま
での人生を考えると、間違いではないように思えてきた。
 こんな想像をするのも、末期だと言い表している。
 末期とはいっても、逃げるつもりがないだけで自首しようとは思っていない。何故だろ
うか? 恐らく、まだ心のどこかには捕まりたくないという気持ちがあるからだろう。ただその気持ちが、疲れたという気持ちより弱いだけの話だ。ここでじっとしているだけで捕まらない可能性もあるのだから、やはり自首する気にはなれない。
 さて……気持ちを切り替えよう。行動に起こしてまでやりたいことはないが、それでも
娑婆にいられる少ない時間を無駄にはしたくない。
 何をしようか? やりたいことはないのだから、今のうちに、今じゃないと考えられな
いようなことを考えてみよう。
 そうなると、自分の理想について想像するのがいいだろう。拘置所は今よりはいいだろ
うというだけで、自分の理想からは程遠いだろうし、捕まったらこんなことを考える余裕
もなくなるように思える。
 理想。何が平穏といえるだろう? 暴力を振るわれない状態? お金に困らない状態?
 人付き合いに問題がない状態? 暴力を振るわれないにはどうすればいい、お金は、人
付き合いは? いや……これからどうやって生きていこうと思ってしまう状態が、平穏で
はないと定義できそうだ。虐待され、暴力から解放されればお金に困り、色んな人に騙さ
れ振り回されて生きてきた。そんな生活ではなく、一般的なサラリーマンのように、ただひたすら仕事に没頭して、先のことなど考えず、時々訪れる幸せを求めるような生活がしたい。できることなら静かな場所で、一人で生きたいものだけど、社会の仕組みがそれを許してはくれないだろう。
 はは……乾いた笑い声が耳に届く。理想の想像だというのに、ある程度は現実的に考え
てしまう自分が、なんとなく面白く感じたからだ。こんな時にまで現実的も何もあったも
のじゃない。
 こんなにゆっくり考えるのも、幸せかもしれないと、漠然とした幸福感を感じる。
 ふと、周りの闇が濃度を増しているように感じた。
 そして、背後に何かの気配を感じ……


 もう、逃げるのは限界のようだね。
 そんなに警戒しなくてもいい。私は君から少しの時間をもらう代わりに、逃げる手段を
与えに来ただけだ。信じられないだろうが、今は藁にでも縋ったほうがいいのではないか
ね? 例え、その藁が理解できない何かだとしても。なに、時間といっても、少し話を聞
いてもらうだけだ。それだけで逃げられるのなら、安いものだとは思うがね。
 ――では、犯罪者に纏わる不思議な話を始めるとしようか。
 この世には犯罪が蔓延っている。日本でも最近、犯罪が多くなってきた。実際に体験したことはなくとも君は知っているだろう。例えばテレビ、ニュースはもちろん、エンターテイメントとして犯罪記録などを見たことがあるだろう。例えば噂、あそこの家に強盗が入った、隣町で殺人事件が起こったなどといった雑談も聞いたことがあるだろう。……ないかね? まぁ、そういった事実も存在するということだ。君の想像力が豊富であると信じて進めさせてもらおう。これからの話は噂を焦点においたものだ。
 大抵の事件は起こった現象や発端を予想、もしくは語られて終わる。犯罪者が捕まった
のか、もう安心していいのかということが大事だというのに語られない。話題性が無く
なったという理由もある。警察が捕まえられていないという場合もある。だが、明らかに
それらの可能性だけでは説明できない頻度で、ことの顛末が語られることはない。身近である故に話題性が無くなった訳ではなく、警察の手に負えない事件がそう頻繁に発生するとも思えない。君は不思議に思わないかね?
 普通の人もはじめは少しの疑問と不安を抱える。しかし、自然とそういう状況が続き、
なおかつ自分が犯罪の被害にあっていないことから、自然と語られないということはその
事件は終わったものと認識するようになる。または、解決したという情報が入ってこない
のだろうと認識するものもいる。事件が起こったという情報は入ってくるのに、事件が終
わったという情報が入ってこないというのは考えづらい現象だが、実際のところ情報が
入ってこないことが多いようだ。
 ここで大事なのは、人が自然と事件を無かったことにすることじゃない。事件は解決し
たという情報がなぜ入ってこないかということ。答えは簡単、犯罪者が居なくなったから
だ。例外もあるが、犯罪者は捕まらない限り次の犯罪を実行する、そうなるとまた噂が立
つ。しかし、居なくなったからといって警察が犯罪者を捕まえたわけじゃない。それなら
解決したという噂が立つだろう。
 犯罪者は文字通り居なくなる。そして、なぜ居なくなるかというと、妖怪の食料にされ
てしまうからだ。
 この世には楽園が存在する。そこには妖怪たちが住んでいるが、食料である人間はその楽園に少数しかいない。よって、食料は別のところから調達しないといけなくなる。その調達場所、狩場に選ばれたのが我らの住むこの日本だ。だが、無差別に狩ると楽園の存在が知られてしまうかもしれない。そこで彼女らは個人情報が管理されるこの社会において、失踪しても問題にならない犯罪者を狩ることにしたんだ。
 ……それでは、狂人の講義はここでお終いだ。以上の話を信じてはいけない、ただの冗
談なのだからね。……まぁ、冗談も禁断の知識も最終的に人間を不幸にする点では良く似
ている。稀に同じものでもあるがね。
 では、はじめに言ったとおり逃げ道を示して私は去るとしよう。君は街灯もなく、月も
陰っている夜道を歩く時、どうすれば楽に歩けると思う? そう、自分で電灯を持ち歩け
ばいい。道が見えないのなら道を照らす物を持てばいいという道理だ。この懐中電灯は君
の道を明るく照らしてくれるだろう。さぁ。受け取りたまえ――


 変な人間に会った。黒い……いや、そんな単純な色でもなかった。夜色とでも言い表せ
ばいいのか、そんな複雑な色の外套を纏った男。変な話をした後、まるで手品のように懐
中電灯を差し出し、ペンライトサイズのアンティーク風な懐中電灯を渡して居なくなった。
 もらったペンライトで周りを照らしていると急にライトの灯りが切れたので、文句を言ってやろうと思って振り向くと、男の姿は既に見る影もなくなっていた。おかげで色々と問いただすこともできなかった。
 とりあえずスイッチを入れながらペンライトを振り回していると、とある方向にだけ光
を放出するかのように光がチカチカと点灯した。電池が切れかけているのかと中を見てみ
ると、電池は入っていない。バッテリ式なのだろうか。
 なんとなく光が出る方向に進みたくなった。歩くと光の出る向きが変わるからだ。どこ
へ導いてくれるのかが気になった。これも、今の内じゃないとできないことだろう。
 そうして、光に誘われる蟲のように、闇の中に照らされる光に歩みを進めた。

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