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小説の練習中。
執筆時間90分ほど
幻想郷は、例年通りの暑さに包まれながら日々をおくっていた。
暇な妖怪が起こす異変も、今年に入ってからまだ起きていない。

そんないつも通りの夏。
人間も、妖怪も、普通に生活していた。



もう日が暮れてきている。
「今日は……客が少ないかな?」
いつもより客が少ないうえに夕方ともなると暇だ。
ふと周りを見ると、他の商店はもう店仕舞いの時間で、片付けに忙しそうだ。
忙しそうな姿を無視して、夕焼け空をぼんやりと見つめる。


ここは里の中心からほんの少し外れた、商店が少し固まっている場所。
中心から外れてはいるが商店が固まっているだけあって、夜以外は人通りが多い。
何故夜は人通りが少ないのか?
ここにある商店は主に人間を相手に商売をしているので、夜に店を開けていても仕方が無いからである。
そんな場所で八百屋を営んでいる男は、まだ夕焼けを見つめていた。


「少し買出しが遅れても、ここは開いていていいな」
ぼんやりとしている間に客が来ていたようだ。
完全に油断していた。常連さんだったからまだよかったが……
「ん、いらっしゃい」
「店主が惚けてていいのかい?」
「すまない、今日はうちに来るのが少なくてね」
他愛ない世間話をした後、男は漬物を買って帰って行った。
周りの商店は全て閉まっていた。気づけば長い間喋っていたようだ。
もうすぐ夜になる。

夜になり、人通りもなくなった。
それでも店を閉める訳にはいかない。
ランプに火も点けずに、星が輝く空を眺める。
明日への仕込みなど他にやる事はある。
しかし、この時間はぼんやりと過ごすのが一番いい。


俺が家を継ぐ前から、新月の夜にしか来ない常連がいる。
何故新月の夜にしか来ないのかは分からないし、うちを贔屓してくれる理由も分からない。
ただ分かるのは彼女が妖怪だろうということだけだ。
分かるといっても聞いた訳じゃない。
だが夜しか来ないうえに、十年以上少女の姿のままなのだから妖怪だと思う。


小一時間ほど、星の数を数えては忘れる作業を繰り返した頃、足音が聞こえてきた。
ランプに火を灯し、常連を受け入れる準備をする。
「いらっしゃい」
「こんばんは」
金髪に紅いリボンを巻いた少女は、いつも通りの笑顔で挨拶してきた。
「今月は何かあったかい?」
この少女は時々、面白い話をしてくれる。
まぁ、普通の人間にとっては妖怪の体験談全部が面白いのだが。
残念ながら、表情を見る限り今月は特に何も無かったようだ。
「なんにもないわー。いつも通り、変な人間が私を待っていてくれたぐらい」
「常連さんは大事にしないとな」
そんな言葉を受けてか、彼女は売れ残った漬物や野菜を見渡した。
「そうね。売り上げがよくないみたいだもんね~」
「そう思うならいっぱい買っていってくれよ?」
「優しいものがあれば」
彼女の選ぶ基準は毎回、よくわからない。

面白い話が無いときは、彼女からあまり話しかけてこない。
自分から話しかければいいのだが、彼女が楽しそうに店の商品を見ているのを邪魔したくない。
ただ見ているだけで待ったかいがあるのだ。
彼女はわざわざ全ての商品を一つずつ手にとって品定めする。
俺はそれを見てどういうものが好みなのかを分析する。
もう何十回と繰り返した思考だが、まだ飽きはこない。
結局、彼女は自信作の漬物をいくつか買うことにしたようだ。
心の中でガッツポーズ。今月も予想通りだ。
「毎度あり」
「ありがとう。また来るわ~」
いつもの会話、彼女は店から離れていった。
見送っていると、途中で足を止めて、こっちを向いた。
「どうした?」
「また……良いのを置いといてよ?」
今回の漬物は特にお気に召したようだ。もう一度心の中でガッツポーズ。
「……いつも通りに、来てくれるのなら」
「楽しみにしておくわ」
彼女は満面の笑みをうかべ、闇へと消えていった。

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